技術情報 Vol.01
2020年6月3日掲載
イラストレーターからの出力で白抜き文字にオーバープリントが設定されていると、白抜き文字が無くなるという事象が起こります。
オーバープリントは製版指定の一種で、具体的には「他の版に対して色を乗せる」指定です。
一般的なプリンタでは、オーバープリントの状態をプリントアウトできない機種がほとんどです。また、画面上でも、通常は確認できません。
そのため意図しないオーバープリントが指定されていることに気づかずに、結果として白抜き文字が抜けてしまう場合があります。
たとえば、シアン(C100%)の上にマゼンタ(M100%)の文字が重なっていて、マゼンタにオーバープリントが指定されていた場合、下の版が抜かれないので、結果的に色が(C100%M100%)に変わってしまうことになります(図1)。
さらに「白のオーバープリント」が問題です。一般的な印刷物の場合、白はそのまま「紙の色」です。つまり、なにも色をつけないことで白を表現します。
そのため、白のオブジェクトに対してオーバープリントが指定されていると、「下の版が抜かれない」=「消えてしまう」のです(図2)。
弊社ではK100%のオブジェクトはすべて、製版処理時に自動的にオーバープリント(ノセ)の処理を行いますが他の場合には全てお客様のデーターどおりに処理しています。
これは、最近のアプリケーションが透明効果などの複雑な処理を表現するためにオーバープリントを利用する為です。データ上で指定していなくても、アプリケーション側でオーバープリントを付加する場合があり、オーバープリントを製版側で破棄してしまうと、異なった結果になってしまう場合があります。
イラストレーターでは「表示」メニューから「オーバープリントプレビュー」(図3)にチェックをつけると画面上で仕上がり状態を確認できますがプリンターでは確認できません。また、図2-②の様なイラストレーターの設定のままでPDFを書き出した場合は画面上では「文字あり」に表示されますが、製版処理時には本来の設定どおり「文字無し」となります。PDFのご入稿前にはイラストレーター上にて「オーバープリントプレビュー」で表示してご確認されることをお勧めいたします。